^<125>I標識ヒト型モノクローナル抗体4G12のin vitroおよびin vivoにおける反応特異性と生体内分布に関する研究
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概要
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腫瘍特異的なモノクローナル抗体による放射免疫診断や治療などの臨床応用を検討するために,マウス由来の抗体よりも免疫原性の低いヒト型モノクローナル抗体4G12(human IgM)を用いて腫瘍特異性や生体内分布を明らかにした。4G12抗体は谷口らが作成し扁平上皮癌に特異性が高いと報告したヒト型抗体で,酵素抗体法により食道扁平上皮癌組織切片を免疫染色すると94.8%が陽性であり,他組織では胃低分化腺癌と大腸癌の一部を除きすべて陰性であった。また,クロラミンT法で標識した^<125>I-4G12抗体でcell binding assayを行うと扁平上皮癌株化細胞に選択的に反応し,コントロール細胞(Chang's liver cell)と比較すると4.3倍の放射活性を有し標識後も十分な抗体活性を認めた。生体内分布では,食道癌教室継代株CME1を皮下に移植したヌードマウス(Crj:CD-1(ICR)nu/nu)に^<125>I-4G12抗体を尾静脈より注入(1.7MBq/body)して経時的に腫瘍および各臓器別の放射活性(cpm/g)を測定すると,腫瘍/血液比は投与後上昇して120時間後に最高4.24±0.19(mean±SD),さらに腫瘍/筋肉比では120時間後に最高83.43±8.53と,4G12抗体の腫瘍への集積を示した。そこで,腫瘍を皮下に移植したヌードマウスの全身シンチグラムを行うと,移植された腫瘤が120時間後に明瞭に描出された。また,コントロールとして非特異性Human IgM(Cappel社)を同様に用いた場合の120時間後の腫瘍/血液比は1.30±0.35,腫瘍/筋肉比は0.60±0.06で腫瘍への集積を示さず,シンチグラムでも腫瘤は描出されなかった。以上より,ヒト型モノクローナル抗体4G12は食道扁平上皮癌に集積性を認め,さらにヒトIgMで免疫原性が低いこともあり,食道癌の診断や治療に応用し得ると思われた。
- 1998-02-01
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