レオナード・L・ベリー著 低所得層マーケティング・システムの概観
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本論文の目的は, 都市の貧しい人々が他の地域の居住者よりも余分に支払う傾向があるという環境を明らかにし, 確認された諸問題の, より有望な解決策を考察することであった。現実の中から誤った社会通念を識別する試みがなされ, 結果として現実について何を効果的になし得るかについて明白な見通しを立てることができた。学者, 実務家を問わず, 貧しい人々が余分に支払うか否かについて相当な混乱をひき起こさざるを得なかったということは, おそらく控え目に述べているのであろう。本論文の試みはその問題の所在を浮き彫りにしようとするために, 食品, 家具・家庭電化製品の低所得層マーケティング・システムに焦点を絞った。なぜならばこれらは最も完全なる証拠が存在するところの範疇に入っているからである。これらの範疇においては, 低所得層マーケティング・システムの二つの最も基本的な問題領域であると思われるものについて考察された。すなわち, 消費者に対するおびただしい不正行為と異常に多い零細で非効率的, 非経済的商店の存在である。これらの問題領域の特別関係要因も考察された。最後に, 現状を改善するいくつかの特に有望な提案がなされた。言い伝えの証拠に基づき, 貧しい人々が余分に支払っているか否か, について主張することはあいまいなことである。更に厳密にいえば, これまでの調査結果によれば貧しい人々は余分に支払う場合もあれば, そうでない場合もあることを示している。特に, 貧しい消費者は, 彼等が非効率的で非経済的な近隣地域の食品ならびに家具・家庭電化製品店で買物をする場合, 余分に支払う傾向がある。しかしながら, 多くの貧しい人々は, より進歩的で効率的で経済的な商店の常客となり, 確かにその場合には彼等は, そのために近隣地域を離れなければならないのである。零細な貧民街の「パパ・ママ」食品店の高価格は, 主として非効率的で非経済的な経営の結果であるように思われる。近隣地域の家具・家庭電化製品店の高価格は, 不正商法又は非効率的で非経済的な経営のいずれかによるものであることを示している。確認された問題領域を少しでも改善するために, 最も有望なプログラムは次のように企画されたものである。すなわち (1) 低所得者を計画された消費者教育により, 市場において自衛をよりよくできるよう援助する。(2) 大規模商店において貧しい消費者にクレジット利用の機会を与える。(3) 貧民街地域に進歩的小売商を誘致する。(4) 確実な経営の技術に欠ける低所得地域商人に経営相談ならびに教育を行なうなどのことである。重要なことは, 特殊プログラムは特定の低所得コミュニティの特殊な必要性と文化に合わされなければならない。何故ならば低所得問題と低所得者は, ちょうど高所得者の問題がそうであるように, コミュニティ毎に大きく異なっていることがあるからである。異なった民族・人種のグループを代表し, 異なった交通機関をもち, 異なった大きさの規模をもつ異なったコミュニティに生活しているので, 貧しい消費者は, 他の所得階層グループが細分化され, 供給を受けているのと同様に, マーケッターによって注意深く細分化され供給されなければならない。そうすれば結果として大きく報いられるであろうし, 同様に, そうしなければ結果として非常に好ましくないものとなるであろう。
- 中京大学の論文
- 1979-12-30
著者
関連論文
- レオナード・L・ベリー著 低所得層マーケティング・システムの概観
- 消費支出面における技術の後進性
- デイビッド・カプロビッツ著 商人と低所得消費者
- ハンス・B・トーレリー サラー・V・トーレリー著 イギリス消費者協会 (II)
- 日本における消費者教育論 : その展開の系譜及び批判
- ハンス・B トーレリー, サラー・V・トーレリー著 イギリス消費者協会 (I)
- 瓊瑤著『白狐』(II)
- 瓊瑤著『白狐』 (I)
- アメリカ消費者同盟の消費者活動プログラム(Consumer Action Programs of the Consumer Union of United States--Economics of Consumer Protection,1971)