てん菜における光合成と光の強さとの関係について
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概要
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自然条件下の圃場におけるてん菜の受光状況に則して,葉の光合成と光の強さとの関係を明らかにする目的で実験を行った。材料として品種「合成2号」を用い,葉数20及至30枚に達した個体の中位葉の切葉を供試した。測定に当り,光を葉の表側のみならず従来余りかえりみられなかつた葉の裏側についても与え,光の強さと光合成の変化を調べた。又,CO_2吸収を葉の表裏各側に分離測定し,そのための特殊同化箱を作成した。得られた結果の大要は次の通りである。i.光合成速度は,葉の表裏各側の照度の影響を受ける。一方の側の照度が低いほど,他方の側の照度の影響が大きい。ii.一方の側の照度を一定にし,他方の側の照度を変動すると,光合成は約45kluxで光飽和を示す。この光飽和は見掛けの光飽和であり,照度一定側の光を高いレベルに一定させると飽和光合成速度が明らかに増大する。この場合のCO_2吸収速度は,照度一定側が比較的大きく増大し,照度変動側も若干増大する。iii.iiの光合成における光飽和に明呼吸が関与しているものと推定された。iv.CO_2吸収速度に関する気孔数については,葉の表側よりも裏側の方が僅かに多い。しかし,表裏各側のCO_2吸収並びに光の変化に対する反応に大差はない。v.葉の一方の側のCO_2吸収は,主として,その側の光の影響を受けるが,他方の側の光の影響も若干受ける。vi.自然条件下の圃場において,葉の表裏に受ける光の範囲内では,葉の示す光合成速度は,その葉の表裏両面に受ける光の強さの和によってほぼ規定される。
- 明治大学の論文
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