年中行事における食の意義とその経済効果
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概要
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食文化を伝承する機能が低下してきている。食文化の伝承単位は家族であり,地域組織がそれを支援していた。しかし,戦後の経済成長過程における都市集中と核家族化で,いずれの機能もマヒしてしまった。1990年代を経済成長至上主義者は「失われた10年」と捉える。筆者は,望ましい方向を生活環境の充実と捉えて,これを「生活環境回復の10年」と位置付けたい。社会は落ち着きを取り戻し,環境,農業,食料に目を向け,ゆとりと人生を問い直す層も厚みを増しできた。それでも,まだまだ日本風土を再評価し,先人が蓄積してきた文化を顧みるという域には達していない。とりわけ残念なのは,日本風土で培われてきた年中行事の役割に,目を向けることが無くなってきたことである。ところで,平成17年6月10日,ようやく「食育基本法」が成立した。食育とは,食する姿勢を正すことである。食に係わる全ての関係者が,地域の食材を見直し,健康に考慮し,食文化を伝承することに協力しようということである。ところが食育論議の中に,「年中行事」の意義を問い直そうという視点が欠如している。年中行事の精神は,感謝,健康,祈願である。年中行事を行うということは,この精神を毎年確認し合い,伝承していくことでもある。本稿では,こうした年中行事の意義を食の側面から明らかにしている。年中行事が行われなくても,せめてこうした知見と意義を心に留めておいて欲しいからである。
- 2005-12-01
著者
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