国内平和の国際的条件(<特集>冷戦終結と内戦)
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概要
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領域主権国家間の合意に基づいて組織的暴力を抑制する枠組みに対して,冷戦の終結は何をもたらしだのだろうか.言い換えれば,境界の内側における国家による暴力の独占(の相互承認)と境界を越える暴力の抑制に特色づけられる分権的領域秩序は,冷戦の終結によってなぜ揺らいだのか.そして,どうすればその安定を維持できるだろうか.本稿の主たる目的は,冷戦対立の終結に伴う社会主義連邦の解体や,冷戦戦略としての対途上国援助政策の変更が,境界の内側におけるローカルな勢力分布に生み出した変化に着目しつつ,ゲーム理論を用いて,二勢力間の政治的な対立が武力紛争(内戦)へとエスカレートする論理を明らかにすることにある.特に,多数派による「要求の自制」のコミットメントを少数派が信頼できないために,少数派が「弱者の予防戦争」に訴える誘因を持つことに焦点をあてる.多数派による要求の自制のコミットメントに信頼性を与えるには,要求の増大を相殺するような政治的メカニズムが必要である.ここでは,国内における拒否権の制度化,そしてそれを機能的に代替する国際社会による「条件つき介入」がどのような紛争抑制効果を持つのかを分析する.
- 東京大学の論文
- 2004-03-19
著者
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