立地-価格モデルにおける参入に関する動学的分析(<特集>日本経済と産業組織)
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概要
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規制改革・構造改革に関する議論が盛んに行われているが,その中で競争政策の重要性も改めて高まっている感がある.本稿では,その中の私的独占に関連する問題を取り上げる.私的独占の経済学的な問題点は,端的に言えば,効率性(社会余剰)の最大化に反するという点である.既存企業が参入阻止行動を取った結果,あるいは,様々な規制の存在等により参入が起こらず,競争による利益が実現しない状況がその典型例である.この問題の最も基本的な解決策は,参入促進のために参入費用を低下させることである.本稿は,この参入費用低下策に全く効果がない場合があることを理論モデルを用いて指摘する.より具体的には,一定の条件を組み込んだ動学的な立地-価格モデルを構築した上で,均衡において,参入費用と退出費用が共に0であっても既存企業が全ての市場を独占ている状態からは参入が起こらず,既存企業は潜在的な参入の機会に直面しても行動を変える必要がないことを示す.
- 東京大学の論文
- 2004-03-18
著者
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