メルランの最後の日々(西昭夫先生退職記念号)
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概要
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ロベール・ド・ボロンの『メルラン』の後には13世紀の初めに大別して二つの続編が付け加えられた。『流布本続編』と『メルラン続編』である。その淵源は散文『ランスロ』の冒頭に描かれたメルラン自閉の短いエピソードにあるとされる。メルランは美しい少女に恋をする。彼女は後にランスロの養育者,守護者となる湖水の貴婦人である。メルランは悪魔の子の性を受けつぎ彼女を狂おしく愛する。最後には自ら教えた魔法によって眠らされ岩屋に閉じ込められる。もはや時代は変った。古い主人公は新しい登場人物に席をゆずらねばならない。今やアーサー王を守る者はメルランではなく湖水の貴婦人である。このエピソードを核として二つの続編はそれぞれの仕方でメルランの最後を描いた。物語の枠を同じくしながらも,登場人物の性格などに小さくないちかいが存在する。本論は『ランスロ』および二つの続編でのメルランの幽閉にいたる物語の紹介を試み,あわせて三つのテキスト間の物語の異同の指摘におよぶ。
- 千葉商科大学の論文
- 2003-12-31
著者
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