肺血栓塞栓症の予防

概要

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要約:本邦でも待望の肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症:VTE)予防ガイドラインが作成された。VTE予防ガイドライン解説に先立ち,まず,当院における過去5年間のPTE症例82例の検討結果を発表した。院外発症52例,院内発症31例で,発症年齢は50歳以上が77%を占めた。PTE発症契機に悪性疾患を指摘された症例を5例認めた。病型は急性例が85%,慢性例6%,慢性肺高血圧型4%であり,症状・所見としては呼吸困難が67%と最も多かった。確定診断方法として肺血流シンチグラフィ・胸部CTが多く使用された。治療は未分画ヘパリンが68%に使用され,ウロキナーゼが34%に,t-PAが12%に使用されていた。Percutaneous cardiopulmonary support (PCPS)使用例は3.6%あり,再発予防に永久型フィルターを使用したのが14%,一時型フィルターが6%であった。出血合併症は抗凝固療法を行った77例中7例に認められた。予後として生存例は78%,死亡例は22%であった。剖検時診断例は22%であった。VTE予防ガイドラインの対象は入院中の18歳以上の日本人患者であり,目的はVTEの一次予防である。疾患・処置にリスク増強因子や患者背景を加味し,総合的にリスクを判断,疾患・手術のリスクを4段階に分類し,各々に対する予防法を推奨している。予防方法は理学療法が中心で,リスクが高い場合薬物療法も用いられるが,出血合併症についてインフォームド・コンセントを要する。
2004-09-01

肺血栓塞栓症の予防

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