石灰化上皮腫の発症母地に関する研究(2) : 病理組織学的ならびに免疫組織化学的検討
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概要
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目的:石灰化上皮腫(calcifying epithelioma)は,毛包特に毛母(hair matrix)に由来すると考えられており別名,毛母種(pilomatricoma)とも呼ばれている。しかし,サイトケラチン(CK)の発現から,本症に出現する腫瘍細胞の中には外毛根鞘(outer root sheath)と同様のCK発現を示す細胞があり,本症はhair matrixのみの由来ではないことが考えられ,一定の見解がない。今回,本症の発症母地を明らかにするために病理組織学的および免疫組織化学的検討を加えた。対象および方法:東邦大学大橋病院皮膚科において1993年以降に病理組織学的に石灰化上皮腫と診断された計35症例,36検体〔年齢:4〜69歳(平均29.4歳),男性14例,女性21例〕を対象とし,hematoxylin and eosin染色による病理組織学的所見と臨床像との関連および,抗ケラチン抗体を用いたCK発現の所見から本症の発生起源や分化を検討した。結果:本症におけるCK発現所見と正常毛包器官におけるCE発現所見とを比較することで,本症は3つの腫瘍細胞グループ〔1.毛皮質(hair cortex)に分化,2.outer root sheathに分化,3.内毛根鞘(inner root sheath)に分化〕が存在することが確認された。結論:本症の起源としては,hair matrixより未分化な細胞であることが考えられた。また,inner root sheathに分化する細胞が石灰化上皮腫で観察されたのは初めてである。
- 東邦大学の論文
- 2004-09-01
著者
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