石灰化上皮腫の発症母地に関する研究(1) : 石灰化上皮腫の臨床的検討
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概要
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目的:石灰化上皮腫は,一般に腫瘍の色調は正常皮膚色ないし青色調で,皮内から皮下の硬い結節として触知される。また,被覆表皮は正常であることが多い。しかし,発症からの経過や発症部位,外的刺激や感染などにより臨床像が様々に変化し,初診時診断に苦慮することがある。今回,本症の発症母地を明らかにするために臨床的検討を加えた。対象および方法:東邦大学大橋病院皮膚科で1993年以降に経験した35症例36検体(男性14名,女性21名)を対象とし,本症の臨床経過や臨床所見をもとに,発症要因や様々な形態を呈す臨床像などについて検討した。結果:受診時年齢は4〜69歳(平均29.4歳)で,自覚してからの経過は最短1週間で最長20年(平均15.7カ月)であった。発症部位は,上肢(特に20歳代の女性)に好発し,顔面発症例と合わせると80%以上であった。臨床所見は,色調は正常皮膚色が最も多く,次いで淡紅色や青色などが認められた。硬さは弾性硬が多く,全例が硬い結節であった。結節表面の性状は,平坦ないし若干の凹凸不整が多かったが,一部では水疱様外観を呈するものや,中心に陥凹を認めるものが存在し,隆起性の腫瘤を形成する症例も散見された。結論:臨床所見は炎症,外的刺激,発症から切除までの経過,腫瘍下方の骨の存在ならびに皮内や皮下など,どの部位に発生するかにより様々に変化していた。
- 東邦大学の論文
- 2004-09-01
著者
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