岐阜県内の特別養護老人ホームにおける苦情解決制度の現状と課題
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本調査は、岐阜県内における特別養護老人ホームの苦情解決状況を把握することを目的として2004年8月に実施されたものである。調査における苦情の捉え方については、「改善を望む訴え」とし、要望も含む広いものとした。苦情内容については、「職員の言動・態度について」が74件で最も多く、「利用者同士の人間関係について」が16件、「施設設備について」12件、「事故について」6件、「外出について」6件、「入浴について」5件、「食事について」4件、「施設の規則について」4件等となっていた。一方、「その他」の回答が82件と多く、具体的なケア内容、施設での医療のあり方等についての苦情が多いということがわかった。苦情申し立て者の属性としては、「特養の利用者」68名が最も多く、次いで「デイサービスの利用者」27名、「特養利用者の家族」25名、「デイサービス利用者家族」21名、「第三者委員」1名、「ボランティア」1名、「その他」72名という結果であった。苦情解決制度の課題としては、「苦情や不満が表面化しにくい」「苦情を出しやすい体制ができていない」との意見があるように、「苦情を言える関係」づくりの重要性が指摘できる。苦情を言える関係に、より踏み込んで議論するためには、利用者と援助者の関係とともに、利用者の代弁者としての家族、そして利用者の精神的支えも含めたケアのパートナーとしての家族の役割を検討する余地があると思われる。さらに、苦情を受け止める仕組みが整備された次の段階として、苦情解決のプロセスや対応結果 (申し立て者へのフィードバックを含めて) を開示していくことが利用者・家族の信頼を高めることにつながると言えよう。
著者
関連論文
- 市区町村における介護保険制度の現状と課題 : 東京都T市の介護保険実態調査を参考に
- 在宅における痴呆性高齢者を介護する家族の意識
- 苦情を宝に変えるポイント (特集 不満・要望をサービス改善に活かそう)
- 社会福祉分野におけるサービスの質に関する研究
- 福祉専門職の職務遂行の困難性に関する研究 : C大学卒業生のインタヴュー調査から
- 岐阜県内の特別養護老人ホームにおける苦情解決制度の現状と課題
- 地域福祉の課題と展望
- 特別養護老人ホーム入居者家族が抱く迷いへの支援--施設ケアにおける家族支援の新たな展開をめざして
- 家族役割をめぐる入居者家族と援助者の意識のずれ--A県の特別養護老人ホームにおける苦情解決調査をもとに
- 岐阜県の特別養護老人ホームにおける苦情解決制度の現状と課題2 : 苦情表明行動にみる利用者家族の姿とその支援
- 苦情表明行動にみる特別養護老人ホームの利用者家族の姿--迷いを抱えやすい利用者家族とその支援に向けて
- 家族連携型施設オンブズマン活動をめざして--特別養護老人ホームH荘の試み
- 特別養護老人ホーム入居者家族が抱く迷いと緩和に関する研究
- 社会福祉士に求められる能力をいかに育むか : 実習教育のあり方の検討
- 福祉NPOのレゾンデートルと活動分析に関する基礎的研究 : 「信頼」の創出に向けて
- 高齢者福祉施設における地域活動の再構築に向けて : 施設運営における「主体」「参加」「民主化」の視点から
- 特別養護老人ホーム入居者家族への支援方法 : STAIによる家族会活動の評価
- 特別養護老人ホームにおける介護職員の「主体性」意識に関する予備的研究
- 特別養護老人ホームにおいて本人が終末期を生ききる課題
- 韓国における老人長期療養保険制度と療養保護士の課題について
- 子どもと家族および地域社会におけるソーシャルワークの方法に関する基礎的研究
- 介護予防通所介護利用者の日常生活機能の低下要因
- 介護予防通所介護利用者の生活充実感に関する研究