言葉の創造性と差異(II.人文・社会科学系)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
言葉は現実を写すものではなく,新しい現実を作り出すものとしてある。人間は動物として感覚の世界に生まれながら,言葉を学び,社会化することで,言葉の世界,あるいは認識の世界に住むようになる。従って,言語が違えば,同じ対象を指しているように見えても,その認識の仕方が異なることになる。その例として,英語と日本語における身体と時間に関する基本的な語彙を調べる。例えばheadと頭では,前者が首から上の全体を指すのに対し,後者は顔と区別された,髪の生える部分を指す。またstomachと腹では,前者が腹部を内臓から捉え,後者は「原」の語源が示すように,外部から視覚的に捉える。これは,英語が牧畜文化から生まれた言語で,身体の各部位を解剖学的,立体的に捉えるのに対し,日本語は稲作文化から生まれた言語であり,身体を知覚的,表面的に捉えるためである。
- 千葉大学の論文
- 2005-02-28
著者
関連論文
- The Rainbowにおけるアダムとイブのテーマ
- 霞の文化と光の文化(II.人文・社会科学系)
- 『鳩の翼』のストーリー,あるいは「拡張力」
- To the Lighthouseにおける子宮的発想
- 言葉の創造性と差異(II.人文・社会科学系)
- モダニズム小説と現代批評(II.人文・社会科学系)
- イギリス小説のモダニズム概観(1)
- 太陽崇拝と現代文明 : Thomas HardyのTess of the d'Urbervilles
- Stretherと理想の父親像 : Henry JamesのThe Ambassadors