モダニズム小説と現代批評(II.人文・社会科学系)
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概要
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モダニズム小説は,作品が対立する複数の意味を持つことからくる曖昧性,あるいは意味の不確定性を特徴とする。そしてそれはポストモダニズム小説において,作品の断片性や虚構性を強調することでさらに徹底されると共に,批評方法としてはポスト構造主義として理論化される。このポスト構造主義は,作品を作者の意志を反映する統一体としては見ず,その伝統的な観念を否定して,本質的に対立や矛盾を含んだ複合体として見る。そして作者や作品の統一性というものを完全に否定するが,作品の文学性や芸術性を考えるとき,それを作者の意図の除去されたところに見出すことは不可能である。モダニズム小説をポストモダニズム小説やポスト構造主義から区別する特徴は,たとえ人生の断片性や意味の不確定性を主張しても,作品の根底には確たる意味や統一性が潜んでいたことであり,それ故に読者に訴えるような芸術性を持ち得たのである。
- 千葉大学の論文
- 2004-02-28
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