飲酒に対する社会的態度の変容 : 家族への影響という言説をめぐって
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概要
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この論考は, アルコール依存症が近代化の中で家族問題として取り扱われるに至った経緯を跡付けるものである。その作業を通じて, 家族とかかわらせる形でアルコール依存という問題を立てることそのものが, 女性のアルコール摂取に対する社会的許容度のみならず, 社会的排除ならびにジェンダー秩序の構築と関わりを持つ現象であることを明らかにしたい。第1節では大量飲酒が社会的逸脱から疾病へとみなされるようになった歴史的経過について, 欧米の先行研究を通じて概観する。第2節では, 飲酒に対する社会的統制の不可能性を確認し, それでもアルコール問題を解決するために不可避とされる断酒をめぐる戦いについて見ていく。第3節では, 専門家によるパラダイム転換にもかかわらず, 家族の中で育つ子供の将来への影響から飲酒の問題性が論じられていくことによって, 飲酒行為が道徳的観点から論じられる傾向は根強いことを確認する。第4節では, 女性が家族とくに子供に対する責任を負っていることが, 女性を飲酒から排除することへとつながる一方で, アルコール依存症に陥った家族を支える役割を当然視するような社会的権力のあり方について論じる。
- 2005-03-31
著者
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