日本語母語話者と韓国語を母語とする学習者の日本語の同意を示すあいづち : ディスカッションにおけるあいづち使用の比較(文学・文化編)
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概要
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聞き手によって使用されるあいづちは,コミュニケーションを円滑にする働きを担っているが,非母語話者のあいづちは,母語話者とは異なった使用がなされる場合も多い。本稿では,日本語母語話者と韓国語を母語とする日本語学習者を対象として,日本語でのディスカッションにおける「同意を示すあいづち」の使用の相違とその要因を考察した。その結果,この種のあいづちの出現傾向において,日本語母語話者の場合は「自分と同じ意見を持つ話し手の発話」よりも「自分とは異なる意見を含む話し手の発話」の中で出現する割合が高かった一方で,韓国語母語話者の場合はそれとは逆の傾向が見られた。日本語母語話者は,話し手が聞き手の主張にとって不利になる事実,または話し手の主張を支持すると思われる事実を述べるとき,それに対して同意を示すあいづちをうち,会話に参加する積極的な態度を示すなどして,話し手が意見を述べやすい雰囲気作りをするよう配慮していることが伺える。一方,韓国語を母語とする学習者は,話し手が自分の主張にとって有利になる事実を述べるとき,それに対して同意を示すあいづちを用いることによって,自分の主張の妥当性を訴えようとしていると考えられる。韓国語母語話者の母語文化では,ディスカッションの場で「自分とは異なる事実・意見を含む話し手の発話」に対して同意を示すあいづちを打つことは相手に優柔不断な印象を与えるために,日本語においてもそれを回避するために使用を避けたものと考えられ,このような態度が日本語でのコミュニケーション上の問題となる可能性が示唆された。
- 2005-03-18
著者
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