電子時代における図書館観の変容 : ベイカー論争の再検討を通じて(京都大学生涯教育学講座シニアキャンパス実施記念号)
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概要
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本稿は、2004年10月14日、「都市の発展と図書館サービス」というテーマのもと、上海図書館にて第3回国際図書館学セミナーと合同で開催された第2回国際図書館フォーラムの第4部会「図書館と都市の知識基盤」における発表を和訳したものである。この発表の目的は、図書館界における情報化傾向の影響を、非技術論的かつ非戦略的な側面から考察することにあった。すなわち、この傾向の背後で、図書館観および図書館員像が変容しつつあるということに着目したのである。具体的には、米国の作家ニコルソン・ベイカーが、図書館に対して行った一連の抗議活動を追跡するとともに、それらの活動が引き起こした論争についての再検討を行い、この作業を通じて、情報化時代において図書館の世界にもたらされつつある変化についての考察を行った。その結果、図書館でコンピュータ化が進められたことは、図書館専門職と旧来の図書館愛好家との間に、一種の認識論的な次元での断絶を生み出したことが明らかになった。加えて、この断絶は、旧来の図書館および図書館員の価値評価問題を内包しており、それがベイカー論争の基底をなす係争点であるという事実もまた、合わせて解明された。
- 京都大学の論文
- 2005-03-31
著者
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