「なごり」と「なごり+をし」 : その意味と文体
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「なごり」は「なみのこり」から変化した語といわれ上代には「波」にかかわる意味を持つ例がみられるが、このような意味は中古から中世前期にかけておこった意味変化のために現在はみられなくなっている。本稿ではこのような意味変化の様相を明らかにし、特に中世にみられる「なごりをし」の場合においてその変化の要因を検討して意味変化の一類型としてとらえようとした。さらに、その「なごりをし」は中世において和漠混淆文ではよく用られるが和文ではほとんど用いられないという文体差がみられる。この差は中世的な新しい要素をとり入れるか排除するかという中世文章語としての中古の模倣態度の差に起因するということを、「なごりをし」の派生の要因と関連させながら検討した。
- 東北大学の論文
- 1992-09-30