「社会福祉援助技術現場実習指導」からみた,実習教育の課題に関する研究 : 実習学生の自己評価と実習施設の評価との関連から(II)
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概要
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本学社会教育学科では,平成14年度よりカリキュラムを改訂し,社会福祉士,精神保健福祉士の国家試験受験資格が得られる科目が設置され,平成15年度から本大学においても社会福祉援助技術現場実習並びに精神保健福祉援助実習が開始され,併せて40名の学生が実習をおこない,平成16年度においては,59名の学生が実習をおこなっている。社会福祉援助技術現場実習では,23日以上かつ180時間以上の福祉施設の現場実習を必要とする。この現場実習は約1ケ月の長期にわたり,利用者の生活保障はもとより人命,権利擁護や人権への配慮も必要なことから失敗は許されないだけに事前指導の徹底が求められている。本研究では,平成15年度「社会福祉援助技術現場実習」の実施結果から,実習学生の実習自己評価と施設による実習評価とを併せて検討することにより,事前指導課題を明確にし,今後の事前学習並びに事後学習の指導に活かすことを目的とするものである。検討をおこなった結果,学生と施設による自己評価との間においては,総合評価では差がなく,評価項目間では差があること。総合評価以外の評価項目間で見ると,各評価項目毎に施設評価と自己評価を比較するといずれも自己評価の方が低くなっているものの,利用者関係,実習態度,総合評価,知識の順に自己評価と施設評価に差が生じやすくなっていること。大学の「社会福祉援助技術現場実習指導」評価との関連では差があることが明らかにされた。各評価項目における自己評価と施設評価とを比較すると,施設評価と自己評価ともに「基礎的知識」の評価が一番低い。そして施設評価では,「基礎的知識」,「利用者との関係」,「実習態度」の順に評価が高い。一方,学生は,児童福祉施設の場合は同じ順で評価が高くなっているが,他の施設種別では,「基礎的知識」,「実習態度」,「利用者との関係」の順に評価が高くなっている。また,各評価項目ごとに施設評価と自己評価を比較するといずれも自己評価の方が低くなっている。次に学生の実習に対する満足度を見るとほぼ満足しているものの,高齢者施設実習学生で目標達成率が低い。その理由として高齢者施設での実習内容が特に介護技術の比重が高いことが明らかにされた。そして施設評価と大学での事前学習科目との相関との調査結果から社会福祉援助技術論,介護概論,社会福祉原論の順に相関度が高いことが明らかにされた。したがって,事前指導では,かかる科目の履修の促進を図ると共に,社会福祉士の実習とはいえ,現状では介護技術の比重が高いだけにかかる施設種別毎での実習内容に応えるよう実習内容を改善する必要があることが本研究で明らかにされた。
- 川村学園女子大学の論文
- 2005-03-15
著者
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