フナムシ体表の微細構造(III : 自然科学編)
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概要
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フナムシの体表の微細構造を走査型電子顕微鏡で調べ,次のようなことが分かった。腹甲を除き,付属肢を含めた広い部分にtricorn型の感覚毛が分布して,基本的な,マルチモダルな感覚受容を行っている。それぞれの付属肢には,孔あき感覚毛の束,孔あき感覚毛を付属させた二重あるいは三重構造剛毛,円錐剛毛,棒状感覚毛,細長い触毛など場所により異なる感覚毛が生えている。上唇や交接器には,保持機能のための,鱗の変形したと思われる棘毛が生えている。第6歩脚の後側には,水を吸い上げる通路を形成する鱗片あるいは鱗でできた,筋状構造が走っている。雄の第1-第3歩脚には,交尾の時役立つ,毛あるいは鱗の生えた毛板があり,性的二型性を示す。節足動物の体表の厚い丈夫なクチクラは,外界の情報を得るには適していない。そこで外界の様子を探るために,様々なタイプの感覚毛を持っている。この硬いクチクラは,脱灰に手間がかかり,そのため内部組織に損傷を与えるなど,内肺組織を観察するためには余り適していないが,逆にその硬さゆえ,臨界点乾燥などの操作が不要で,走査電子顕微鏡による表面構造の観察には適している。従って,多くの昆虫などで,その表面構造が観察されている。そして,各部に生えている感覚毛が,その形態や大きさ,機能から分類されている。同じようにクチクラでおおわれた,甲殻類はエビやカニの様に大型のものも多く,それらの体表の感覚毛の機能についても古くから神経生理学的に研究されてきた(Bush and Laverack, 1982 : Ache, 1982)。それに比べて,小型の下等甲殻類での神経生理学的研究は少ない。一方,陸生の等脚類は,水生の甲殻類が陸上への適応を企てた過程での,水分保持と体表構造の関係が注目されている(Hoese, 1984)。そこで,下等な甲殻類の陸生の等脚目のフナムシで,その体表はどのような構造をしているか,そしてどのような感覚毛を持っているかを調べるため,走査電子顕微鏡で体の全表面を観察した。
- 千葉大学の論文
- 1996-02-29
著者
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