耐熱性エンテロトキシンの構造形成における9-位アミノ酸残基の役割
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
毒素原性大腸菌(ブタ由来株)の産生する耐熱性エンテロトキシンアナログ(STp(5-17))の構造形成における9-位アミノ酸残基の役割について研究を行った。Cys^6とCys^<14>をacetamidomethyl-L-Cys (Acm-Cys)で,Cys^9をD-Cysで置換したSTp(5-17)アナログ([Acm-Cys^6, D-Cys^9, Acm-Cys^<14>]STp(5-17))を用いて,I_2-oxidationにより6-14位間にジスルフィド結合を選択的にかけることにより,天然STpと同等な毒素活性を有する[D-Cys^9]STp(5-17)のコンフォーマーが得られた。しかし,9位がL-Cysである[Acm-Cys^6,Acm-Cys^<14>]STp(5-17)からは天然型のコンフォーマーが生成されてこないことが報告されている(参照文献(2))。[D-Cys^9]STp(5-17)の立体構造解析をNMR法により行い,このアナログがSTp(5-17)とほぼ同じ立体構造をもつことが明らかとなった。このことは[Acm-Cys^6, D-Cys^9, Acm-Cys^<14>]STp(5-17)のD-Cys^9がα_L(left-handed α helices)-torsionをとることができることにより,[D-Cys^9]STp(5-17)の天然型コンフォーマーが生成されてくることを示している。本研究における結果から,9-位Cysの役割が特異なtorsionをとることによって,天然型コンフォーマーにいたる6-14位間のジスルフィド結合の形成を可能にすることであることが明らかとなった。
- 2002-09-25
著者
関連論文
- 結晶中と溶液状態での耐熱性エンテロトキシンアナログの比較研究
- 耐熱性エンテロトキシンの構造形成における9-位アミノ酸残基の役割
- ラット小腸上皮細胞膜上には耐熱性エンテロトキシン誘導体との結合様式を異にする二種の受容体が存在する