ラット小腸上皮細胞膜上には耐熱性エンテロトキシン誘導体との結合様式を異にする二種の受容体が存在する
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概要
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ブタ由来毒素原性大腸菌の産生する耐熱性エンテロトキシンの誘導体(STpアナログ)と特異的に結合するラット小腸上皮細胞膜上の蛋白について研究を行った。膜標品への結合実験から,STpアナログとクロスリンクされる蛋白として120kDa,65kDa,55kDa蛋白が検出された。これらのうち主要なタンパク質は65kDaと55kDaタンパク質であり,120kDaタンパク質は少量であった。65kDaタンパク質が交換性結合能をもち,55kDaタンパク質が非交換性結合能をもつことが示唆された。膜標品を用いた蛍光標識化STpアナログと非標識化STpアナログとの交換実験から,交換性結合様式の解離定数としてKd=9.0nMが得られた。一方,部分精製された受容体はSTpアナログに対し特異的な結合をするが,非交換性の結合様式をもっていた。この受容体のSTpアナログに対する結合定数はKa=2.1nMであると見積もられた。部分精製受容体と蛍光標識化STpアナログとの複合体からクロスリンクにより検出されたタンパク質は50kDaではなく,32kDaタンパク質であった。この結果からSTpに対して非交換性結合様式をもつ受容体は32kDaタンパク質であることがわかった。また,55kDaタンパク質は膜上で32kDaタンパク質と複合体を形成しているか,あるいは,近傍に存在しているタンパク質であると推定された。
- 明治大学の論文
- 2002-09-25
著者
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