長期生存の得られた十二指腸癌・大腸癌異時性重複癌の1例

概要

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十二指腸癌が先行し,異時性に大腸癌を重複した症例で両癌に対する根治切除術によって長期生存の得られた1例を経験したので報告する。患者は65歳,男性。平成5年2月,横行結腸間膜および膵浸潤を伴った十二指腸癌に対し膵頭十二指腸切除術(膵胃吻合再建)および結腸右半切除術を施行した。病理組織学的所見は粘液癌でsi, nl, lyl, vO, pancS, stageIVaであった。術後は外来で定期的に経過観察していた。術後4年3ヶ月目より貧血と血清CEA値の上昇(9.1 ng/ml)を認め,精査によりS状結腸癌と診断し,4年4ヶ月目にD3郭清を伴うS状結腸切除術を施行した。病理組織学的には規約2型,中分化型腺癌, ss, nl, lyl, vl, stageIIIaであった。患者は十二指腸癌術後から11年6ヶ月,大腸癌術後から7年1ヶ月経過の現在,再発徴候なく健在である。十二指腸癌と大腸癌の重複症例は比較的稀であるが,積極的な根治切除術により長期生存の得られることを強調したい。
金沢医科大学の論文