1990年代の世界貿易(小林榮吾・齋藤道愛・森島賢教授定年退任記念号)
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概要
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1990年代にはいわゆるグローバル化の中で世界貿易の大幅な拡大がみられた。地域的には、先進国の比重が必ずしも上昇せず、むしろ低下する場合も多かった。その一方で途上国、とりわけ東南アジア地域の比重が顕著であった・しかも先進国の中では日本やEUの比重低迷に対しアメリカの比重がさまざまな場合に上昇していた。品目では、工業製品、とりわけ機械の伸びが大きかった。こうした動向は、アメリカ経済の再活性化、アジア途上国の工業化の進展、直接投資の拡大等を背景に生じたものである。この時期の世界貿易拡大の中心的存在である東南アジア地域の貿易動向には、これら地域の工業化の進展、拡大が確認できると共に、域内諸地域間の相互関連、ネットワークの形成が反映されており、世界経済展開の方向性も示唆されることになる。なお、1997年のアジア通貨危機の影響は一部にはまだ残ってはいるが、世界貿易同行に決定的な影響を与えてはいないといえよう。
- 2005-03-20