血液疾患における免疫異常(<特集>医学研究のUP-to-DATE)
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概要
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骨髄異形成症候群(MDS)では,なんらかの免疫的異常があると考えられていたが,明確な証拠は認められなかった.炎症性サイトカインである,TNF-a・IL-6・IL-1βについて末梢血の単核球を分離して3日間培養後サイトカインを測定したところ,再生不良性貧血(AA9とMDSの芽球の少ないタイプでは,炎症性サイトカインが多く産生されることが判明した.近年,MDSにおける血球の無効造血が,TNF-aがアポトーシスをおこすためにおこることがわかり,抗TNF-a剤であるレミビッドという薬剤がMDSに有効であることが分かり,臨床的にも効果があることが証明されはじめている.MDSや急性骨髄性白血病の予後の悪い症例では,主に染色体の7番に異常があることが多いが,7番染色体に癌抑制遺伝子が存在している可能性がある.しかし,まだ同定されていない.また,ビタミンD_3は以前より分化誘導物質として考えられており,各種悪性腫瘍に効果のあるアナログの検討がなされている.多発性骨髄腫の末梢血のCD4/CD8比が低下していることと,CD8^+T cellより産生され,CD4^+T cellを制御するIL-16を測定すると,病状が進行している症例で,高くなることが分かった.骨髄移植や分子標的療法の進歩が見られる中で,抗サイトカイン療法や,分化誘導療法も益々重要性が増してきていると考えられる.
- 順天堂大学の論文
- 2005-03-31
著者
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