対象者が主体的に食生活上の問題点に気づく栄養教育内容について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
衛生行政の分野では、昭和57年の老人保健法成立以来、壮年期以降を対象とする様々な保健対策(健康教育、健康相談等)が総合的に実施されてきているが、生活習慣病は増加の傾向にあるのが現状である。その理由の1つとして、生活習慣は長年の文化的、社会的、経済的、環境的に特徴づけられた行動のパターンであり、生活習慣を改善することは容易なことではないことがあげられる。従来、健康教育方法は知識普及型が一般的であったが、この方法は、対象者が指導者に一方向的に自分の生活習慣上の問題点を指摘されるため、素直に自分の事として受け入れることが難しい場合もある。そこで、近年、健康教育の進め方が対象者の自発的な学習を重視する学習援助型へ転換することが求められている。しかし、先行研究では具体的な健康教育(主に栄養教育)の方法論としての実践報告は少なく未だ確立していないのが現状である。そこで、本研究ではY町糖尿病予防教室OB会(7名)を対象とし、対象者自身が生活を振り返るよう支援することで生活習慣上の問題点(主に食事面)に主体的に気づくことを目的とした教育内容を検討した。また、その中で指導者側が意図したねらいがどの程度達成されたかを対象者の発言内容、観察記録、アンケートにより評価した。その結果、本栄養教育の指導案による、(1)摂取エネルギー、(2)食事間隔、(3)栄養バランス、(4)野菜量を実感するという大きな4つのねらいに対し、対象者から様々な気づきを得ることができ、ねらいがほぼ達成された教室内容であった。しかし、対象者各々の関心項目を十分内容に組み込むことはできなかった。本研究の対象者は、非常に健康に関心が高く、行動変容の段階モデルでは、実行期・維持期にあり、今後、健康に関心の薄い層への追試等も含めてさらに実践研究を蓄積していく必要がある。
- 2005-03-25