異物注入法による豊胸術後に発生した乳癌の1例
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概要
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症例は73歳女性. アルツハイマー型痴呆のため意思疎通が困難で病歴の詳細は不明であるが, 約30年前に豊胸術をうけたと推測される. 当院内科で他疾患治療中に両側乳房腫瘤を指摘され, 当科紹介受診となった. 左乳房に3.5×3.5cm, 右乳房に3.5×3.5cmの弾性硬で凹凸不整の腫瘤が触知され, 左乳房腫瘤内には1.0×1.0cmの皮膚陥凹所見のある硬い腫瘤が認められ乳癌が疑われた. 左腋窩に軟らかい可動性のあるリンパ節を触知しえた. 触診で乳癌が疑われた左乳房腫瘤の穿刺吸引細胞診の結果は鑑別困難であった. マンモグラフィー及びCT検査にて異物肉芽腫であることは診断しえたが, 乳癌の存在も否定しえなかった. 以上より左腋窩リンパ節転移を伴った乳癌を疑い胸筋温存乳房切除術を行った. 術後の病理検索では, 乳癌を疑った部位には癌組織は認められず, 連続切片を作成することで同部位辺縁に癌組織が認められた. パラフィン・シリコン系異物注入法による豊胸術後で癌の合併を否定しえない場合, 積極的に腫瘤全摘出を行い永久標本での詳細な病理検索が必要であると考えられた.
- 2004-04-25
著者
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