SETTLEMENTS IN THE PUNJAB
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概要
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インドについて型にはまった通念が日本人の間になお存在している。パンジャーブで4つの村を選んでフィールドワークを行った。パンジャーブ平原ではあらゆる面においていちじるしい変化、ことに経済的進歩がみられる。緑の革命は着実にその成果をあげ、農業の構造変化もまた顕著である。シク教を信奉するジャット族がその推進者である。近年インドラガンジー首相殺害で、シク・ジャットが凶暴であるかのごとく一般に報道されているが、彼等こそシク教の信条に支えられて、祈りかつ働き、社会構造をリベラルに保ち、「時間のない」とか「変化のない」とかいわれるインド (1人当りGNP U.S.$ 260(1983))の生産性をいちじるしく引き上げ、パンジャーブに活力を与えている人々である。伝統的集落は密居型であり、防御村型であった。屈強な男子が (妻子と同衾せず) 密居地 (アバディ) の外縁、何箇所かの家に立籠って終夜、夜警に当るのが、パンジャーブ (防御) 村落の建前であった。治安の好転とともに、1950年頃から、その必要がなくなった。それのみか、アバディから遠く離れた農地へ単独居住しても治安上なんら不安がなくなった。かくて昔ながらの密居地 (アバディ) から、一括耕地の孤立荘宅 (ファームハウス) へ転住し大規模経営をする者が徐々に出現しつつある。シク・ジャットの村は中部ドイツの村 (ドルフ) と集落外移住者 (アウスジードラー) (最近あらわれつつある) をさえ連想さされる。緑の革命は着実に根づいており、小麦、ワタ、トーモロコシなどの外に、米の増産が注目を引き、インド全体の農産物地図の書替えの必要性さえ感ずる。インドには時間がない、変化がないと言われてきたが、その小農民農業は資本主義的個人主義的農業に向って大きく動いている (もっとも、左翼政党は8 ha以上の大規模農家の出現にブレーキをかけようとしているが)。
- 1988-12-20
著者
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