人間環境と社会有害性の理論
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概要
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人間環境を守るために法制度は不可欠なものである。法、特に刑法の任務には二つの相反する機能が求められている。社会の安全を守るための社会秩序維持機能と国家から国民の自由を守るための人権保障機能である。前者の機能を強調すれば、国民の自由への多くの規制が不可避的になり、後者の機能を強調すれば社会の安全、ひいては私たちの生活環境への侵害の危険性が増えることになる。この両機能の調整を図り現実社会の人々に理解されうるような法制定を思考するのが刑事立法政策である。日本国憲法に違反する刑事立法が許されないのは当然の原則である。では憲法に違反しなければどの様な事柄に関しても、私たちの人権を制限する刑事立法が許されのであろうか。この問題に対して一つの方向性を示しているのが、社会的に有害とされる事柄のみが規制対象として許されるとする社会有害性の理論である。社会システム論を基礎にこの社会有害性の理論を展開したN.ルーマンとK.アメルンクの考え方を整理し検討を加えたものである。
- 人間環境大学の論文
- 1999-06-20