「つゆ」の表現性と枕詞のレトリック
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「つゆ」という語を含む枕詞五個を中心に、枕詞・被枕詞の生成過程と用法の広がりについて考察した。まず、「つゆ」を含む枕詞総てに共通し、時代を通じて見られた被枕詞に「消」がある事が分かった。次に、枕詞のそれぞれに「つゆ」を表現する範囲に相違が見られた。「朝露」の「白露の」「置く露の」は叙景の「たま」と関わりが深く、枕詞のレトリックに使われ始めるのは平安時代後期から鎌倉時代初期である。また「朝露の」「白露の」「露霜の」は動詞の掛詞「おく」と深く関わるという事が明らかになった。語としての「つゆ」の表現性は時代と共に変化し、枕詞・被枕詞双方の生成と用法の広がりに大きな影響を与えている事が明らかとなった。その証拠に、被枕詞に「つゆ」を導く枕詞はすべて平安時代から発生する。これらから「つゆ」の表現性は、枕詞の用法の広がりに深く関わる素材であることが明らかとなった。
- 東北大学の論文
- 2000-12-20