社会福祉士養成における「実習教育」の課題 : ミニマム・スタンダードの設定をめぐって
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概要
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大学における社会福祉教育の混迷が続く中で, 福祉専門職養成のために不可欠な「実習教育」をいかに確立すべきかということが筆者の問題意識である。本論文では, 実習教育のあるべき姿のひとつの方向性として3者 (実習生・実習科目担当教員・実習指導者) のミニマム・スタンダードの定着を目指し, そのための課題を考察した。期待される社会福祉士像の提示が教育内容の見直しを要請し, そのことが大学を中心とする養成校の社会福祉教育のあり方に影響を及ぼすという一連の流れがある。その結果、「実習教育」は社会福祉教育において重要な位置を占めることになったが, その一方で「実習教育」は, いかに実習先を確保するかという問題から実習プログラムのあり方に至るまで多様な課題を内包している。現状では社会福祉士養成のための「実習教育」は, 養成校の規模と実習教育理念によって格差が生じており, 養成校には実習指導体制の整備と実習科目担当教員の確保が求められている。また実習生に関する諸問題は「事前学習不足」に集約され, 実習受け入れ側の問題もまた, 実習受け入れ理念の浸透と実習指導者の力量という問題に集約される。「実習教育」において3者のミニマム・スタンダードを設定する意義は, 3者の関係が「3者の相互関係」にあるということと, 実習教育には一定の教育レベルの設定が必要不可欠だからである。ミニマム・スタンダードに求められる基本的な内容は提示されているが, それを定着させるためには, いまだ多くの課題がある。包括的課題として、ミニマム・スタンダードの設定水準と狙いの明確化, 評価システムの構築があげられる。また実践的課題として, 実習教育の具体的な展開に即したミニマム・スタンダード実習のモデル作りが必要である。
- 2005-01-31
著者
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