「提案と苦情ノート」の談話分析
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概要
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英国の学寮に置かれた「提案と苦情ノート」をスピーチ・アクト理論とpoliteness理論から談話分析した.このノートは寮生が寮監に様々な苦情や提案を書き入れるためのもので,力の差が明確な寮監(高)と寮生(低)が交わした文を分析し,低から高へ「提案」や「不平」を表現するのにどのような丁寧表現が用いられているかを観た.結論として,学生の丁寧表現には否定的表現(決まり文句,ヘッジ)が多かった.幾つかのアクトの内expressiveはお世辞や感謝を表現するときに用いられ,学生はそうした表現を用いることで丁寧表現としている.彼らの表現には過度に丁寧さを装うことでかえって寮監に対する敵意を表している文があった.過度な丁寧さは時として敵意と威嚇を表すが,どの段階で丁寧さが敵意を含み始めるかはこの少ないデータでは判断できない.しかし,今後の興味深い課題であろう.最後にpolitenessはあいまいで抽象的であり分析は難しいが,この論文で用いたスピーチ・アクト理論,politeness理論は書き言葉にせよ話し言葉にせよ分析方法として十分に有効である.
著者
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