プラトン主義の共和国かツキュディデスが論じる帝国か : レオ・シュトラウス氏の業績の中にみられる帝国主義について
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概要
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レオ・シュトラウスは「帝国主義」という題目(主題)に関して教えてきたのか?もしそうなら、教えてきたもの(内容)は何か?この態度の性質を決定する困難は、シュトラウス思想の研究のすべてと同じように、直接には、シュトラウスが自己の見解を解説するときに用いる高度に微妙で、時には意図的に古めかしい方法に帰因する。「帝国主義」の場合、幸運なことに、アテネ帝国に関するツキュディデスの歴史書を彼が論じたものがあり、その歴史とプラトン思想とを対比したものがある。これらの書き物を調べることから、次のことが推定できる。もしも帝国主義に対するシュトラウスの態度が、プラトンの見解にともかくも言及するものであるとするならば、彼は帝国主義に対して決定的に批判的であったと仮定できる、と。ツキュディデスが、実践的地盤上、帝国主義的冒険に懐疑的であったとしても、それと同等に強い帝国主義批判をもたらしたプラトンに関する難解な議論を内在している。この議論は、どこにも明示的に叙べられていないし、またこの議論はツキュディデスとの比較という文脈で最善の形で叙述されている(描かれている)。シュトラウスは正確にこの比較をわれわれに提示している。かくして次のように推定できる。すなわち、シュトラウスの業績をめぐる新保守主義者と非干渉主義者との論争において、概して言えば、新保守主義者の方が誤っていると。
- 2004-03-31