リストの作品に於けるrubatoの指示によるルバートの技法
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概要
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本稿は19世紀にピアニスト、作曲家、指揮者、文筆家そして教育者として活躍したF.リストのルバートの技法について考察するものである。リストは様々なタイプのルバートを用いていたが、その内、本稿では彼がrubatoの指示によって意図したルバートの技法に焦点を当てる。このタイプのルバートは「テンポの表現に微妙な変化を与えながら、自由な朗唱をするのであり、ショパンのような埋合せシステム(急いだり、ためらったり)とは全然ちがう」(リスト)ものである。この技法は4つの時代に分けられ、初期のものはショパン等からの影響を示し、彼のヴィルトゥオーソ時代には一つの表現技法として発展した。しかし、ショパンの死後は、彼の簡潔な表現様式がリストに再来し、1853年以降はオーケストラ作品にこの技法を様式化している。本稿の考察によって、ロマン派音楽全体の表現様式にも理解を深めることができる。
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