サラリーマンの健康意識と食生活の実態についての一考察 : 名古屋市内および市内近郊在住のサラリーマンの場合
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概要
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栄養指導のあり方や方途を検討することを目的として,名古屋市内および市内近郊在住の男子サラリーマン159人(20代〜60代)を対象に,健康意識と生活行動についての調査を実施した.健康意識の特徴は,行動面では睡眠・休養不足や肥満には注意しているが,運動や規則正しい生活に対する意識は低い.食生活面では,脂肪,砂糖,塩分の摂取量には気を付けるが,果実類や牛乳・乳製品,海藻類の摂取不足に裏打ちされたように,カルシウムや食物繊維の摂取には無頓着で,噛むことや飲酒・喫煙に対する意識も低いという傾向にあった.一方,愁訴数は低年代層ほど多く,その症状は年代に差はあるが,血圧,肩こり,疲れや胃の不調などであった.健康意識や愁訴の関係では,健康意識と睡眠・休養,運動,食生活との関係が,愁訴の数では睡眠・休養,食生活,コンディションとの関係が強く示唆された.これらの結果から,コンディションを維持するためには,(1)バランスのとれた食生活,(2)適度な運動,(3)十分な休養が必要であることが示唆された.つぎに,健康意識と以上の3点について,年代別にコンディションの不調者の特徴を分析した結果,どの年代も健康意識が低く,睡眠・休養時間,運動量,食生活得点が少ない反面で,愁訴数が多いことがわかった.栄養指導をおこなう上で,先の3点のほか,カルシウム摂取の必要性を強く訴えるとともに,30代,40代の飲酒,喫煙量の多さには,ストレスからくる飲酒,喫煙の弊害を訴えることが重要であると考えられた.
- 1994-04-01