モンゴルの企業改革と民営化過程 : 1990〜2000
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概要
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本稿の目的は,第一次資料としての法的文書を中心に,市場経済移行期におけるモンゴルの企業改革とその民営化過程を検討することにある。モンゴルの体制転換は1990年3月に始まり,企業制度の改革及び民営化政策を焦点にして市場経済化を図ってきた。しかし,企業改革の重点は株式会社と有限会社に置かれ,その他の企業形態の形成と育成政策が無視され,民営化を規定した法令も民営化政策の一般概念を定めた規定にとどまっていた。それゆえ,分野別または業種別に規定した法令が作成されないまま民営化政策が実施された。1995年になってから企業改革及び民営化政策は新たな展開を迎え,民間企業の育成と維持に重点が置かれるようになり,民営化政策の実施方式も多様になった。しかし,モンゴルの外国資本導入政策に関しては改革が遅れており,外国資本導入のための積極的役割を果たしていない。それゆえ,外資導入は国別では日本を除けば,隣国のロシアと中国に片寄り,業種別では鉱物資源採掘と軽工業などへ傾斜している。このような状況は,国民経済に重要な意義を持つ国有企業の民営化問題にとって重大な障害となっている。これらの問題の解決なしにモンゴル経済の自立と発展はあり得ないだろう。
- 北海道大学の論文
- 2001-09-11