ハイネとベルネ : ハイネの「ルートヴィヒ・ベルネ覚書」をめぐって(2)
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概要
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「覚書」の中でハイネは,ゲーテ観の違いをもとに,「感覚主義的ヘレネ人」である自分を,「精神主義的ナザレ人」であるベルネと対比して二人の資質の違いを強調している。しかしこの二元的対立は,ハイネの言葉通りに受け取るわけにはいかない。ハイネがゲーテを受入れてきた過程を見ると,決して肯定的評価一辺倒ではない。政治的現象に冷淡なゲーテに対する反発と,その作品の芸術性に対する高い評価が同時にあったと思われる。「覚書」で自分のゲーテ観の否定的な面を,ベルネという対立を用いて自分の内面の矛盾を語っている。「覚書」を歴史として批判的に読むには,ハイネが用いているこうした仮構性を考慮に入れておかねばならない。
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