術前のCT検査で両側閉鎖孔ヘルニアと診断された一手術症例
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概要
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術前の骨盤部CTで両側閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断されたが, 術中所見では右嵌頓, 左非嵌頓の両側閉鎖孔ヘルニアであった症例を経験した。症例は84歳の女性。平成14年3月末頃より右腰, 右大腿から右足先にかけての疼痛としびれ, 食欲不振と腹痛があったため某病院に入院した。精査の結果左肺に腫瘤と胸水が認められ, 腹部はイレウスの疑いとの診断で当院内科に紹介されたが, その際持参した骨盤部CTに両側閉鎖孔ヘルニア嵌頓の所見が認められたため当科へ転科し, 手術を施行した。回盲部より約100cmの回腸の壁の一部が右閉鎖孔に強固にはまり込んでいたが, 左閉鎖孔にはヘルニア内容はなく腸管の嵌頓は認められなかった。右閉鎖孔に嵌頓した腸管は壁の一部が壊死に陥っていたので, 約10cmの腸管を切除したのち端々吻合を施行し, 右と左の閉鎖孔の腹膜を縫合閉鎖した。われわれの施設では本症例を含めて骨盤部CTで術前診断された閉鎖孔ヘルニア嵌頓症例を6例経験しているが, そのうち4例では嵌頓腸管壁の壊死のため腸切除が必要であった。骨盤部CTは閉鎖孔ヘルニアの術前診断に極めて有用であるが, 腸切除が必要な症例を減少させることにはあまり貢献していないと考えられた。
- 新潟大学の論文
- 2002-06-10
著者
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小田 幸夫
済生会三条病院外科
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小田 幸夫
新潟県済生会三条病院外科
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寺島 哲郎
新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野(外科学第一教室):新潟大学大学院医歯学総合研究科基礎応用器官生理学分野基礎体液生理学分野(生理学第二教室)
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寺島 哲郎
済生会三条病院 外科
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高桑 一喜
済生会三条病院外科
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高桑 一喜
新潟県済生会三条病院外科
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寺島 哲郎〔他〕
新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野(外科学第一教室):新潟大学大学院医歯学総合研究科基礎応用器官生理学分野基礎体液生理学分野(生理学第二教室)
-
寺島 哲郎〔他〕
済生会三条病院外科
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