都市林におけるシュロとトウジュロの異常繁殖 : I.種子の散布と定着
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概要
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都市林におけるシュロの増加傾向の原因を解明する第一段階として種子の散布と発芽に関する2,3の実験を行った。散布については, 自然教育園に秋から冬にかけて多く見られる鳥類の中でキジバト, ヒヨドリの2種による食餌試験が行われた。キジバトには種子の大量散布に寄与する程の嗜好性はみられなかった。ヒヨドリでは2月, 3月はさかんに種子を食べることが観察され, 1個体につき1日すくなくとも100粒以上の種子が散布されると推定された。トウジュロとシュロの発芽率, 発芽期間が比較されたが, トウジュロは発芽の期間が短く一斉発芽的傾向が認められ発芽率も高かった。外果皮を人工的に除いた種子, ヒヨドリによって食べられた種子, および種皮の一部まで除いた種子と無処理の種子との比較においては発芽率に大きな差は認められず, 果皮, および種皮には発芽に抑制的に働く作用はないと考えられ, 鳥類の消化管を通過することの発芽率におよぼす影響は一応否定された。種子の大小による比較では, 小さい種子がより発芽率も高く, 発芽期も早いことが認められ, 種子の成熟度の違いが発芽時期の変動や発芽率に影響を与えることが考えられた。シュロの発芽時期のばらつきを実験的に確めたところ, 発芽は2ケ年間にわたり, 1年目の6月に大きなピークがあり, 2年目の5月に小さなピークが認められ, その間11月, 12月, 1月の3ケ月を除くすべての時期に発芽が行われていることがわかった。このような発芽期の大きな変動は, たえず不規則な撹乱をうける都市環境下において繁殖する種にとっては有利な性質と考えられた。
- 国立科学博物館の論文
- 1977-03-23
国立科学博物館 | 論文
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