アレルギー性鼻炎における血清ECPと血漿ECPの違いについて
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概要
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好酸球類粒蛋白の一つであるECPは,気道上皮障害を引き起こす事が知られている.血清ECPは,喘息や鼻アレルギー症状の重篤度を,反映していると報告されているが,血漿ECPは,血清ECPに比べ,常に低値となる.その値の違いが生じる理由を解明するため,アレルギー性鼻炎の症例を対象にして,検討した.患者血液を3種類の試験管に採血した.血液凝固剤入り,抗血液凝固剤入り,無添加の3種類である.その結果,血清ECPは,血漿ECPに比べ,常に高値を示した.しかも凝固剤を入れた血清ECPの方が無添加の血清ECPより高値であった.血清採取後の血餅中に存在する好酸球は,細胞膜が破綻し,顆粒の空胞化も顕著であった.一方,血漿採取時に生じたbuffy coat中の好酸球は,正常な形態を示すものが,大部分であった. ECP値は,好酸球細胞膜の破綻程度と有意な相関を示した.空胞化した顆粒を待った好酸球の細胞膜が破綻した時は,更なるECP高値を示した.以上の結果よりECPは,採血後に好酸球が,血餅という物理的な圧迫を受け,細胞崩壊をきたし,放出されるものと思われた.従って血清ECPは,好酸球の崩壊しやすさを,測定しているものであると思われた.
- 獨協医科大学の論文
- 2004-03-25
著者
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