大型店出店による地域小売構造の変化 : 消費者買物行動研究に基づく考察
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概要
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一般に大型店問題は大型店と既存零細店の対立という構図の下に捉えられがちであるが,小売業には個々の店舗の地理的な影響範囲が限定されているという特性があり,それゆえ小地域レベルでは両者の共存共栄が唱えられることも決して稀ではない。しかしながら,これまでの関連研究において小売業に関する小地域レベルの問題が十分に研究されてきたとは言い難い。本稿で最終的に対象としているのは大型店出店による地域小売構造の変化の問題であるが,そのような小地域レベルの小売構造の問題を解明するためには近接する小売店舗間の相互作用についての理解が不可欠であり,しかも消費者の買物行動に関する諸研究はそのような近接する小売店舗間の相互作用を理解するための基礎を与えてくれる。そこで本稿では,まず第1章において問題の背景と研究課題について明らかにする。続いて第2章では,それぞれの研究が立脚している消費者の買物行動に関する基本的な原理に焦点を当てつつ関連する既存研究をレビューする。そして,それらの研究で仮定されている消費者の買物行動パターンを整理することにより,それらの研究において仮定されている消費者の買物行動が,実際に消費者が行っていると考えられる買物行動の内の特定パターンのものだけに限られているということを明らかにする。第3章では第2章での考察に基づいて近接する小売店舗間の相互作用について考察し,更にそれに基づいて大型店の出店が当該地域の零細小売店や小売構造全般にいかなる影響を及ぼし得るのかという問題について検討する。最後に,第4章において今後の研究課題を明らかにすることにより本稿を締めくくる。
- 慶應義塾大学の論文
- 1994-10-25
著者
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