内視鏡的気管支洗浄などの処置により救命し得た重症灯油肺炎の 1 例

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概要

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症例は老人性痴呆を有する76歳の男性。1991年4月灯油をコップに入れて飲んでいるところを家人に発見され, 数時間後に意識障害が出現したため当院を受診した。入院時, 意識障害, 呼吸不全, 胸部X線で右下葉に含気低下を伴った浸潤影を認めたため呼吸管理と同時にpiperacillinの投与を開始した。入院数日後にはPlt 2.1×10^4/mm^3と強度の血液障害を認め重症灯油中毒と診断した。入院翌日に行った気管支鏡検査では, 気管支粘膜に発赤, 浮腫とともに黄褐色半透明の液体と喀痰の貯留を認めた。Bronchial toilet, 気管支洗浄, 内視鏡的送気術などの内視鏡的処置を7回にわたって行い, 灯油肺炎が改善するとともに, 意識障害, 血液障害なども徐々に改善し, 救命し得た。強度の血液障害を呈した重症灯油肺炎の救命例の報告はほとんどなく, 本症に対する気管支洗浄の有用性をうかがわせる症例と考え報告した。
日本呼吸器内視鏡学会の論文
1996-05-25

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