磁気共鳴画像による急性期脳虚血の病態に関する基礎的および臨床的研究
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概要
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ラット中大脳動脈閉塞モデルに対して,臨床用常電導MR-CT(O.15tesla) を使用し,その磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging : MRI)変化を検討した。虚血巣の画像変化,組織学的変化,ならびに,自由水量変化について実験的に比較検討するとともに,臨床例での脳梗塞急性期MRI変化についても検討した。ラット閉塞モデル,及び,臨床例ともにT2強調画像の方がT1強調画像より診断精度が高く,閉塞12時間後にT2強調画像にて梗塞巣を描出できた。T1強調画像では閉塞24時間後に画像変化を認めた。これら画像変化の実験結果と臨床結果が一致したことより,この実験モデルが脳梗塞急性期のMRI変化の基礎的研究に有用と考えられた。虚血巣自由水量変化は閉塞12時間後から24時間にかけて大きく増加し,その時期がT1強調画像で梗塞巣の描出された閉塞24時間後に一致したことから,T1強調画像,すなわちT1は,自由水の変化と相関すると考えられた。虚血巣の組織変化領域とMRI変化領域は閉塞24時間後には一致したが,閉塞48時間後には組織変化領域とT1強調画像変化領域が一致する一方,T2強調画像変化領域はそれら変化領域より拡大していた。このことから,T1強調画像変化は組織学的変化,すなわち,不可逆性変化を示す可能性が考えられ,T2強調画像変化はその不可逆性変化に時間的先行を示すものと考えられた。
- 神戸大学の論文
著者
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