歯肉炎予防・改善教育の効果と教育手法および児童の心理学的背景要因との関連性
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概要
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歯肉炎の予防・改善教育を通して, 学校歯科保健教育の効果と教育手法および児童の心理学的背景要因との関連性を検討することを目的とした.福岡市某小学校5年生81名を2群に分け, 健康教育の手法をもとに考案した指導重視型プログラムと援助重視型プログラムを, 同一期間にそれぞれ実施した.教育効果は教育前後の歯肉炎症の程度およびブラッシングに関連する知識, 意識と行動の変化から評価した.児童の心理学的背景要因としてセルフエスティームと自己管理スキルを検討した.中等度以上の歯肉炎症を有する者の割合は教育前後で指導重視群, 援助重視群ともに減少し(p<0.001), 改善は8カ月後も維持されていた(p<0.01).ブラッシング行動関連項目のうち指導重視群で3項目, 援助重視群で5項目に改善がみられた.各授業後に行った学習過程を反映させるためのふりかえりシートの記述内容は, 両群に有意差がみられた.セルフエスティームおよび自己管理スキルと関連があったブラッシング行動関連項目は, 教育前がそれぞれ2項目と8項目, 教育後は6項目と7項目であった.両プログラムはともに歯肉炎の改善と維持に効果的であったことから, 現場の状況に応じて選択して利用できると考えられる.また, ブラッシング行動関連項目は自己管理スキルとより強い関連性が示唆されたことから, 今後は教育の受け手側の自己管理スキルにも配慮した教育プログラムの開発が期待される.
- 2005-10-30
著者
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