程度表現における認知的尺度について
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概要
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程度副詞は,通常その主要部である形容詞や動詞が「段階性」という程度を計測する尺度を持つことが共起の意味的条件となっているが,実際は非段階語との共起も多く,尺度の有無の判断は話者の認知によるところが大きい。よって本稿では,認知意味論の立場から,話者の事態認知スキーマに含まれる話者の評価や感情といった状況判断の様態が,事態の段階性や極限性を計る派生的な「認知的尺度」となることを検証し,さらに,話者が認知的尺度を使って,発話時点における事態の経過や今後の成り行きといった2つの事態間の継起関係,因果関係を予測していると思われる程度表現の事例を挙げ,副詞と主要部との認知的意味関係が,イディオムや仮定法のような修辞的な世界における文の意味解釈にも同様に成立することを示す。
- 2003-02-28