小児無抑制膀胱の検討
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概要
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84名の無抑制膀胱児の臨床的検討,81名の小児non-obstructive VUR症例のCMG所見の分析及び40名の無抑制膀胱児のurodynamic studyより以下のことが明らかにされた.1.無抑制膀胱児は単なる夜尿症を主訴とするものを除くと7割以上が女児であり,年齢的には5歳児をピークとしており,以後年齢の増加と伴に減少する.2.症状は昼夜共の尿失禁,再発性尿感染及びこの両者の合併が主で,女児においては再発性尿感染の重要な要因となる.3.排尿時撮影上DUS様所見が46%に認められるが,これは主に無抑制膀胱に起因する所見と考えられる.逆にDUSにより無抑制収縮が引き起こされることは極めて稀である.4.non obstructive VURのCMGで無抑制膀胱が約半数に認められた.これは特に女児に多く,且つnon obstructive VURの2つ目の年齢的ピークと無抑制膀胱の症状出現の時期と一致している.また,3〜7歳女児においては,無抑制膀胱児群の方により高度のVURが認められた.5.無抑制膀胱を合併するVURではIIb〜III度のものも保存的治療により消失・改善する可能性がある.6.以上より,boder line incompetencyのUVJに無抑制膀胱が加わり,逆流の誘発ないし増悪をもたらしていることが推定される.7.膀胱内圧,尿流量,括約筋筋電図の同時測定で,無抑制膀胱児の一部の症例にvesico sphincteric dyssynergiaがみられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1981-09-20
著者
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