ブラケット接着法の臨床実情調査 : 矯正歯科を専門とする診療所を対象としたアンケートによる
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概要
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ブラケット接着法の改良に資する目的で, 現在わが国におけるブラケット接着法の実情についてアンケートを行った.調査対象として全国の大学に附属する矯正科診療室32カ所, 矯正専門開業医の診療室23カ所を選び調査用紙を送付し, 45カ所から回答を得た(回収率82%).調査は, 1) 接着剤・ブラケットのうち使用頻度の高いものの占める割合, 接着剤の選択およびブラケットの選択の理由, 2) 臨床応用上の問題点, 3) 将来改良が期待される点等について行い, 以下のことが明らかになった.1) 多用されている接着剤はMMA系接着剤(51.1%), bis-GMA系接着剤(48.9%)であった.その選択理由は, 接着強さ, 操作性, 使い慣れ, ディボンディングの容易性によるものが多かった.2) ブラケット接着操作上の問題点は術者によって多岐にわたった.回答者45名のうちで, セラミックブラケットとbis-GMA系接着剤の組み合わせで3名の回答者, プラスティックブラケットと光重合型接着剤との組み合わせで3名の回答者のそれぞれから, 接着強さが臨床上の使用に耐えなかったとの指摘があった.3) 回答者の多くは, 接着強さが大きく操作性の良い接着法, ディボンディングが容易で歯質損傷の生じない接着法, および齲蝕予防作用をもつ接着法を将来期待していた.本研究の調査結果は, 将来のブラケット接着法の進むべき方向を示唆するものといえる.
- 日本矯正歯科学会の論文
著者
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三谷 清二
岡山大学歯学部歯科矯正学講座
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中後 忠男
岡山大学歯学部歯科矯正学講座
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樋津 明美
岡山大学歯学部歯科矯正学講座
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岸本 尚文
岡山大学歯学部歯科矯正学教室
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管 国強
岡山大学歯学部歯科矯正学教室
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