左内胸動脈グラフト開存例における再手術に対し左鎖骨上アプローチによる左内胸動脈遮断が有効であった1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は68歳, 男性.約13年前に冠動脈バイパス術(CABG)3枝を施行されており, 今回は大動脈弁狭窄症(AS), 僧帽弁閉鎖不全症(MR)の診断で手術を行った.術前冠動脈造影検査では左内胸動脈グラフト(LITA)が良好に開存しており, また, 2本の大伏在静脈グラフト(SVG)も1本に狭窄を認めたがそれぞれ開存していた.手術は再胸骨正中切開下に大動脈弁置換術(AVR), 僧帽弁形成術(MVP), SVGによる再CABGを施行した.そのさい, 胸腔内でのLITAの剥離は行わずに, 左鎖骨上切開により左内胸動脈根部を露出し, 大動脈遮断中に同部をclampすることでLITAのflowによる心筋保護液washoutを防止した.なお, 心筋保護は逆行性心筋保護を用い, 体温は中等度低体温(咽頭温29.3度)とした.この方法はLITAを剥離操作によって損傷する危険を回避し, かつ超低体温法などを用いなくても確実な心筋保護効果が期待できる安全かつ有効な方法であると思われる.
- 特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会の論文
- 2005-09-15
著者
関連論文
- 97)関心術後に右心房内血栓を合併した一例(第129回日本循環器学会東海地方会)
- P-92 ワルファリン指導用パンフレット作成への取り組み(5.薬剤服用歴管理・服薬指導(入院患者服薬指導),"薬剤師がつくる薬物治療"-薬・薬・学の連携-)
- 82) 臓器虚血を合併したStanford B型解離性大動脈瘤に対しAxillo-femoralバイパスが有効であった一例(第122回東海・第107回北陸日本循環器学会合同地方会)
- 新しい器械 分枝付き胸腹部再建用人工血管の使用経験
- 79)透析患者の冠動脈バイパス術後に合併した難治性心室頻拍に対しニフェカラントが有効であった1例(第127回日本循環器学会東海地方会)
- 術前・術後管理 胸部大動脈瘤周術期の重症呼吸不全に対する補助体外循環の導入
- 左内胸動脈グラフト開存例における再手術に対し左鎖骨上アプローチによる左内胸動脈遮断が有効であった1例
- 広範囲の弁輪部石灰化を伴った僧帽弁逆流に対しCUSA^[○!R]およびMIRA^弁を用いて弁置換を行った1例
- 静脈血貯血槽バイパス回路を用いて胸部下行人工血管置換術を施行した1例
- 経大動脈壁エコー診断による手術および体外循環の選択 : プレコネクト人工心肺回路の有効性について
- 超低体温循環停止における急速冷却・復温の検討
- 28-04-15 ワルファリン療法に影響を与える保健機能食品類 : 情報集積への取り組み
- 循環器領域の高度医療を目指しての心臓血管外科開設
- 70) 副甲状腺機能亢進症を伴った急性心筋梗塞の一例
- MRSA保菌者に対する開心術 : 糖尿病性腎症による慢性透析の2例(日本循環器学会東海地方会第120回学術集会)
- 器質的狭窄と鑑別しきれなかった橈骨動脈グラフトスパズムの1例