ラット正中口蓋縫合部軟骨のリモデリングにおける collagenase および TIMP-1 の発現について
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概要
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縫合部の軟骨組織に拡大装置のような器械的な伸展力を加えると, 結果的に縫合部の速やかな離開を生じることは多くの実験的研究から明らかになっている.軟骨組織の細胞外マトリックスのリモデリングには, collagenaseに代表される一連のmatrix metallo-proteinases(MMPs)が重要な役割を果たしていると考えられる.したがって, 拡大装置を用いて縫合部軟骨に器械的伸展力を負荷した場合に生じる一連の組織変化に際しても, MMPsが深く関与しているものと推測される.そこで, 本研究ではラット正中口蓋縫合部の軟骨組織に器械的伸展力を負荷した場合の組織変化におけるMMPs, 特に代表的なcollagenaseとその抑制因子であるtissue inhibitor of metalloproteinases-1(TIMP-1)の発現様相を免疫組織化学的に検討した.その結果, collagenaseとTIMP-1は正常縫合部軟骨組織に発現しており, 中央部の軟骨細胞と骨髄側の肥大軟骨細胞に認めることができた.器械的拡大力を加えることにより, 縫合部の軟骨組織は左右に離開し, 縫合部軟骨組織の離開が進行するにつれcollagenaseとTIMP-1の発現は増加していた.骨化軟骨基質に存在する軟骨細胞はcollagenaseとTIMP-1の両方を発現していたが, 時間の経過とともにcollagenaseは縫合部に陥入してきた線維芽細胞様細胞に, TIMP-1はむしろ軟骨細胞や骨芽細胞様細胞に強く認められるようになっていた.以上の結果より, 縫合部軟骨組織のリモデリングにはcollagenaseとTIMP-1が関与しており, 単純にどちらか一方が増減するのではなく, 両者を発現する細胞が異なることによって進行していくことが示唆された.
著者
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