ラットにおける人為的咬合干渉除去後の顎顔面形態の成長変化について
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概要
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本研究の目的は, 臼歯部咬合干渉がラット顎顔面の成長に及ぼす影響および咬合干渉除去後の顎顔面の成長変化を形態学的に調べることである.4週齢のWistar系雄性ラット148匹を実験群99匹, 対照群49匹に無作為に分け, 実験群をさらにA∿Cの3群に分け, 対照群をD群とした.4週齢で実験群の上顎両側第二臼歯部に高さ約1 mmの咬合干渉装置を装着し, A群は7週齢で, B群は11週齢で装置を除去し, C群は除去せず, 最長16週齢まで飼育した.7, 11, 13, 16週齢時に, 咬筋および側頭筋の乾燥重量, 顎顔面形態を計測し, 各群間で多重比較した.筋重量について, C群の7週齢で咬筋, 側頭筋ともに有意に小さな値を示した.顎顔面形態について, 頭部X線規格写真計測の結果, C群の上部内臓頭蓋の成長方向が脳頭蓋に対して前上方に回転し, また下顎枝および下顎角部が後方に成長していた.咬合干渉除去後, A, B群の頭蓋, 下顎ともに形態が回復する傾向を示したが, B群はA群ほどの回復を示さなかった.以上より, 成長期ラットにおける咬合干渉は顎顔面の成長に影響をおよぼすが, 咬合干渉を成長期の早期に除去することで正常な成長発育に導けることが示唆された.