ヒト歯肉および歯根膜由来線維芽細胞のカドミウム感受性とカドミウム毒性に対する防御機構について
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概要
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小児歯肉,成人歯肉および歯根膜由来線維芽細胞のカドミウム(Cd)感曼匪を比較し,さらにCd毒性に対する防御機構をメタロチオネイン(MT)誘導とグルタチオン(GSH)変動から検討した。細胞増殖とDNA合成は,いずれの細胞も10^<-5>mM Cd濃度以上で抑制され,Cd感受性に細胞種による明らかな違いは認められなかった。Cd曝露24時間後の細胞内Cd濃度は,いずれの細胞においても,対照群に比べ10^<-7>と10^<-5>mM Cd濃度群で低く,10^<-3>と10^<-1>mM Cd濃度群で高かった。細胞内GSH濃度は細胞内Cd濃度が高い細胞群で高値であった。CdによるMTの誘導合成は10^<-3>mM Cd濃度群まではいずれの細胞においても曝露12時間で認められ,24時間ではさらに促進した。これに対して,10^<-1>mM Cd濃度ではMT誘導が認められなかった。蛍光抗体法による組織染色の結果,すべての細胞でMTは主に核に局在していた。また,Cdに6時間作用させたヒト歯根膜出来の線維芽細胞にはMT-II mRNAの発現が認められた。以上より,本実験で用いた成人歯肉,歯根膜由来線維芽細胞および小児歯肉由来線維芽細胞のCd感受性には明らかな違いがなく,Cd曝露によりGSHやMT合成が促進されることが示された。さらにCdに曝露された成人歯根膜由来線維芽細胞ではMT-II mRNA が検出されたことから,同細胞に誘導されるMTのイソタイプとしてMT-IIの存在が示唆された。
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
- 2001-10-30
著者
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